ネタバレ部屋

映画のネタバレと者の拙い感想文です。

ロブスター The Lobster(2015) ネタバレ

 

 

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んー、巷じゃ結構高い評価を得ているようですが、私としては、なんとも中途半端な劇に見えてしまった。

横たわるテーマは、シリアスで重い。でも演出や細部設定がしょぼすぎてリアリティがないのだ。そもそもナンセンスな構想なんだからリアリティを求めちゃアカンと言われるかもしれないが、あまりにもお粗末な設定なんだよな。隙があり過ぎる。

説得力がなさすぎてシュールなギャグと有名キャストの珍妙な演技を楽しむだけの映画になってた。

松本人志監督作とか好きな人は好物なんじゃないかな?好意的に見れば凄く面白い作品なのかも。私の肌に合わなかった??

ネタバレ後にさらに好き勝手言わせてもらいます。ごめんなさい。

 

以下、ネタバレ

 主な設定:

①たぶん近未来。

②独身者は悪とされている。

③独身者は身柄を拘束され施設に入所させられる。

④前述の施設で45日内にパートナーを見つけなければ任意の動物に改造される。

⑤パートナー成立後、ダブルルームで2週間、ヨットで2週間の夫婦試験期間があり、合格後に正式な社会復帰。

⑤施設入所者は、毎夜独身者の狩りに駆り出され、1人捕獲する毎に動物改造の猶予期間が1日延びる。

 

主人公は、妻と別れ独身者になる。過去に犬に改造された兄を連れて施設に入る。

コミュ障の入所者と奇妙奇天烈な施設スタッフに少々戸惑う。

猶予期間が百何十日まで延びてる非情なハンター気質の女とお近づきになる。好きでもないが、動物になりたくないがためにパートナーになる。

ある日、非情女に兄(犬)を蹴り殺される。女に合わせるために自分も非情な振る舞いをし今まで感情を殺していたが、さすがに涙溢れる。

今までの生活が嘘偽りだと気付いた女は、主人公を施設支配人に突き出し罰してもらおうとする。

しかし、施設スタッフ(後にレジスタンスのメンバーとわかる)の助けで女を狩りに使う麻酔銃で眠らせ改造部屋に突っ込む。そのまま脱走する主人公。

脱走した先の森で、女ボス率いる独身者で構成されるレジスタンスに出会い仲間に入る。そのレジスタンス内では、恋愛禁止で、それを犯した者は厳しい罰が与えられる。また、自分が死んだ時のための墓は自分で掘っておくという奇妙且つ無情な掟もあった。

主人公は、レジスタンス内で近視の女と恋に落ちる。勿論、禁止された行為なので、隠れて愛を育む。

ある日、女ボスに2人が恋仲にあることがバレる。近視の女にレーシック手術を受けさせると騙し、失明させる。

また、女ボスは主人公に強制的に離れた場所に墓を掘らせ、静かな圧力をかける。

失明した後も、主人公は献身的に元近視の女を支える。

ある日、意を決した主人公は、長らく計画していた脱出計画に乗り出す。女ボスを気絶させ手足を拘束し、猿轡を噛ませ、掘らされた墓に放り込み、その隙に元近視の女と街へ逃げていった。

街へ辿り着いた2人は、レストランバーのテーブルで向かい合う。

主人公は言う、「肘を見せて。次は指先を。」

そうして主人公はステーキナイフを片手にトイレへ向かっていき、眼を潰そうとする。

テーブルでは、女が1人待っているロングカットで幕引き。

 

 

感想

動物に改造させられる描写ありません。正直、本当に動物になっているかわかりません。臓器だけ抜き取られて、テキトーに動物を放っているだけかも。

動物になっているかどうかは肝じゃないですね。結婚してないものには人権がないっていう社会なんです。

少子高齢化が加速する先進国においては、なきしもあらず的な社会システムでしょうか。でも、この作品の中では、なんのためにこのシステムがあるかは明示されません。むしろ、少子化の線は薄そうです。年齢的に子作りが難しそうな入所者がちらほら。さらに、冒頭の施設員との面接で性志向を尋ねられていますが、主人公はゲイかヘテロかの応答に悩みます。その反応から、生物学的に子を授かれない同性婚はこの世界では特に問題視されていないようです。人を動物に改造する世の中の割に、寛大ですね。それともあれはゲイを炙り出す引っ掛け?わかりづらい。

偏った思想の独裁政治かな?バックグランドまったく見えないのでわかりませんでした。

 

施設内では、結婚がどれほど素晴らしいか洗脳張りに施設員がレクチャーします。

片一方では、レジスタンスは独り身こそ自由で素晴らしいと。

ですが、どちらも組織が決めたルールに従わなければ厳しい罰が待っており、どう見ても幸福や自由を感じません。愛し合う主人公と近視の女は、むちゃくちゃな組織や法によって破壊されました。組織や法は、自由や幸福を追求するためのものなのに、全く以て本末転倒ですね。

現実社会でも、周りがどんどん結婚していって自分の居場所がなくなってしまった焦燥感や、結婚しないと一人前と呼べない古臭いが根強い風潮から、焦って結婚を決めてしまったり。また、独身仲良しグループの一人に恋人ができると、みんなして「付き合い悪くなった。」、「裏切られた。」みたいな現象がままに起きますw

そういう社会のおかしな側面をスケール大きくし大袈裟に描いたような映画です。「個人の自由じゃん!」って言いたいけど言えない人間関係の窮屈な感じはよく伝わってきました。

また、人に好かれるために共通の趣味、共通の悩みをでっちあげる描写も、現代の婚活に必死になる人々を茶化しております。施設に集まる人々の売れ残り感が痛烈です。

ここらへんの演出は成功していたと個人的には思います。

 

さて、なかなかシュールな設定でありながらしっかりとしたテーマですが、手放しに誉めることはできません。。

なぜなら、冒頭にも述べた通り、細部設定や演出に首をかしげるものが多すぎるから。

いっぱいあり過ぎるので、主だったものをいくつか。

 

①施設入所者の切羽詰まった感が全っ然伝わらない 

みんな落ち着き払ってます。自分の人生に関わるのに、ガツガツ感がありません。パートナーを見つけるより、狩りに夢中です。意味わかりません。その気になりゃ偽装結婚も簡単にできるザルなセキュリティなのに。

ガツガツした人いたのかも知れませんが、出てこなければそれは存在しないのと同じ・・・。

 

②地元警察のやる気のなさと主人公の無防備ぶり

脱 走後、街に繰り出した主人公に警察が職質をしますが、IDも見ずにあっさり解放されます。直前に、独身者と思しき容疑者を念入りに調べているのに。施設脱 走なんて相当な罪のはず。指名手配だろうに。脱走者の情報は、地元警察にいかないのかな・・・。面接で撮った写真は何のためなんだ!

そもそも主人公は無防備すぎだ。全く変装もしてないし。顔割れてるのに、よく平然と街へ出れるな。図太い。

 

レジスタンスが森に棲む意味

た んたんと話が流れていくので不自然な感じはしないんだけど、改めて考えるとレジスタンスが森に棲む意味がわからない。施設破壊が目的なので近場に棲むメ リットはあるが、狩りの標的にされるというデメリットのが大きいと思うのだが。夫婦のふりして街に繰り出せるのなら、そのまんま夫婦のふりして街に潜伏す れば良いのにな・・・。スパイとの密会だけ森に行けばいいでしょ。

そもそもあの組織員を養うだけの財力は一体どこから・・・。腑に落ちぬ。

 

細 かい説明や設定が手抜きな感じがして、というより意図的に隠して掴みようのない雰囲気を出そうとする感が見え見えで、どうも物語に入り込めなかった。ナン センスな会話や演出って、きちんとした世界観の下にあるからこそ輝くのだと思うのだがな。テーマがかなり社会派な分、締めるところはきっちり締めてもらい たかった。

こういう作品に出会うと、監督と脚本家は分けるべきだなということを思わざるを得ない。(良い作品もありますが。)

なんていうか、足りない説得力を良くも悪くも俳優陣が補ってくれちゃってた。うん、俳優陣の演技は天晴れ。

 

主人公がロブスターを選んだ理由について・・・

これ結構大事だと思うんだけど、どこのサイト見ても考察がおざなりというか・・・。

確かに主人公の口からロブスターに決めた理由は語られるんだけど、一番大事なことが抜けていると思ったのだな。

主人公は、①100年以上生きるから。②死ぬまで生殖能力があるから。③単純に自分が海が好きだから。という理由を述べている。

①②の生態まで知っているのなら、もう1個大事な生態を知っているはず。

それは、一生単独生活ということ。

 

これに主人公の精神性が表れている思うのだ。

ラスト、結局主人公が眼を潰したどうかはわからず仕舞い。

晴れて街に逃げ出せた本当は1人が好きな主人公は、もしかしたら彼女を置いて逃げちゃったかもしれませんね。それだと彼女が居た堪れないか。

共通項を作らなければ繋がれないのも結構悲しいけど。

 

 

その他の特筆

右手を縛ることで独り身の辛さを体感。

「一日延びたところで君がブサイクなのは変わらない。」

コリン・ファレルがイケメンじゃない。

レア・セドゥの存在感。

ハイスピードカメラ多用しすぎ。