ネタバレ部屋

映画のネタバレと者の拙い感想文です。

ペット安楽死請負人 原題: Armomurhaaja(2017) ネタバレ

 

 

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2017年東京国際映画祭コンペティション正式出品。んで、最優秀脚本賞を受賞。

フィンランド映画です。

監督のテーム・ニッキさんは、年齢の割にキャリア豊富。サンダンス映画祭やシアトル国際映画祭に監督作品が絡むなど当に新進気鋭の才能。これからが楽しみです。

 

当作品は、表向きは車の整備工、裏の顔はペットの安楽死を請け負うという異質な職持ちのおっさんのお話し。彼の背負う業と彼なりの世直しを描く。

 

注)記憶をもとに書くのでところどころ時系列が怪しいです。悪しからず。

 

 

以下、全編ネタバレ

 

【前半】

フィンランドの片田舎。人里離れた山際で車の整備工を営むおじさん。

副業として扱いに困ったペットを引き取り安楽死を請け負う仕事をしていた。

安楽死の方法は、小型動物であれば車の排ガスで処分、ある程度の大きさであれば銃殺。

今日もまた、扱いに困った室内猫を連れた客が彼のもとを訪れる。

彼は、猫の室内飼いは猫本来の行動範囲を抑え込む虐待であるようなことを客に言い放つ。安楽死をその苦しみからの解放だと。そうして、おじさんは事務的に猫を安楽死させる。

 

おじさんは街の人間からは変わり者扱いされていた。

ある日、ダイナ―で食事をする男性の車に犬が置き去りにされていた。おじさんはそのことを男性に注意するが煙たがれる。

家に戻っていると、先ほどのダイナ―の男性がやってきて犬を始末したいと言い出す。

おじさんはこの犬は今まで面倒見てくれてお前に感謝しているぞと言うが、男性は聞き入れない。仕方なくおじさんは、男性が犬用のケージに入ることと引き換えに安楽死を請け負うことに。男性がケージに入ると鍵をかける。わめく男性を放置して犬を連れて山中へ入っていく。

おじさんは、躊躇なく犬を射殺し、戻ってきて男性を解放する。男性は憤慨しながら帰っていった。

 

おじさんには、余命いくばくもない重病の父親がいた。

ある日、すずらんの花を摘んでお見舞いに行く。お見舞いと言っても会話を交わすことなどなく、関係は良いものでないことがわかる。父親もおじさんを怖がっているようだ。

おじさんの携帯に電話が入り、そこに偶然居合わせた看護婦は電話の会話からおじさんがペットの安楽死を請け負っていることを耳にする。

 

ところ変わって街の車の整備工場で働く青年。

彼はネオナチ?ギャング?のグループに加わっており、パシリのような立ち位置であった。彼はメンバーから認められたいがために工場のタイヤをくすねている。

ある日、棚卸の作業でタイヤの在庫が合わず、社長に疑われる。青年はメンバーにこれ以上の横流しは無理だと言うが、仲間でいたいならちゃんと働けと言われる。

青年には家族がおり、嫁と子供の可愛がる大型犬を避妊手術に連れて行くために預かっていた。しかし、手術代がベラボーに高いため青年は獣医に悪態をつき引き返す。

うまくいかない生活に苛立ち、青年は犬を事故で死んだことにして自分で始末しようとする。

・・・が、肝っ玉が小さく結局請負人のおじさんのところへやってくる。

請負金も高額であったが、避妊手術に比べれば安いと思い、渋々犬を引き渡す。

おじさんは引き取った犬を気に入り、飼うことに決めた。

 

グループでは相変わらず馬鹿にされている青年。しかし、犬を殺してやったと威勢を張る。そして、メンバーからお揃いのTシャツを受け取り、やっとメンバーとして認められたと喜ぶ。

気持ちが大きくなった青年は、職場の棚卸し担当者に在庫を改ざんしろと脅す。

 

ある日、父親の病院の看護婦がモルモットを連れておじさんのもとを訪れる。

家族に預けられたが面倒見切れず安楽死させたいと。

看護婦は、排ガス処分の際に流す音楽に興味を示す。おじさんは死に際に聞きたい音楽を想像しその曲を使っているらしい。おじさんの仕事ぶりに惹かれる看護婦。

別の日、看護婦は道端に捨てられている犬を拾い、おじさんのもとへ届ける。

そして、銃殺処理を見学する。看護婦はおじさんをデートに誘い、おじさんは週末のドライブに同行することを提案する。

 

ドライブデートをしていると道端に横たわるウサギの死骸を見つける。それを拾い埋葬するおじさん。それを手伝う看護婦。2人は急に気持ちが高ぶり、そのまま山中で事に及ぶ。看護婦は首を締めることを求め、おじさんも戸惑いながら従う。

2人は恋に落ち、その後も逢瀬は続く。

行為のたびに首を締め、止めてほしくなったら肩を叩くという約束を決めた。

 

 

 

【後半】

ある日、街の整備工場を訪れたおじさん。青年から引き取った犬を連れていた。

その場を青年とその子供たちに見られてしまう。青年は狼狽し、何故殺さなかったのか問い詰め、お金を請求する。その場を一部始終メンバーに見られ所在ない状態の青年。

 

翌日、工場の社長に呼び出された青年。在庫の改ざんをしろと脅したことがバレて即日解雇されてしまう。さらに、犬が生きていたことを嫁から責められて激昂する。

グループに行くと犬を殺していないことがバレているため馬鹿にされる。

ストレス爆発した青年は、おじさんの金を強奪することに決める。

 

 一方、看護婦は、これ以上苦しみたくないというおじさんの父親の気持ちを汲み取り、安楽死させてしまう。

父親の容体の急変の知らせを受けたおじさんは病院を訪れるも、すでに息を引き取っている。それを見て取り乱すおじさん。そばにあったオーディオに排ガス処理の時の曲が入っていることに気付き、看護婦がやったことを悟る。看護婦はこれでお父さんは苦しみから解放されたと言うが、おじさんはもっとあいつには苦しんで欲しかったと言う。おじさんは、父親に苦痛を味合わせることが目的だったのだ。看護婦はおじさんの気持ちを知らなかったことを後悔する。2人の関係は終わりを告げた。

 

病院から帰る途中、街の獣医に呼び止められる。2人は考え方の差異から犬猿の仲であり、おじさんは以前獣医の車を故意に傷つけたことがあった。

車の傷のことで責められるおじさんであったが、気が立っているのでそんなのお構いなし。さらに、獣医の車に付いた血痕から何か動物を撥ねたと察し怒りだす。おじさんの豹変ぶりをみてパニックになった獣医は、アナグマを撥ねたことを告白。おじさんは獣医を連れてアナグマの死体を回収し、山中へ。獣医を殴り、アナグマを埋葬することを強要する。しかし、ふと我に返ったおじさんは、やりすぎたと獣医に詫びて、自分を殴らせる。殴られた衝撃で気を失うおじさん。

 

目を覚ますと、獣医の姿は消えていた。

家に帰り、看護婦に電話をし、犬の世話を頼みたいと言う。

そして、排ガス処理の車に乗り込み、例の曲をかけて自殺を謀ろうとする。

するとそこへ、青年とメンバーが押しかけ、おじさんをいたぶって金を強奪する。

さらに、引き取った犬を火あぶりにして殺してしまう。

 

青年たちが逃げたあと、看護婦が訪れ、現場に愕然とする。

おじさんは、青年たちへの復讐に乗り出す。

 

グループのアジトへ突撃したおじさんは、銃で脅し、青年たちを並ばせる。

歩くたびに殺した犬を思い出せと吐き捨て、メンバーの膝を撃ち砕く。

青年は外に逃げ出すが、尻を撃たれて足を引きずりながら逃げまどう。

車で追い廻し、青年を廃墟へ誘導する。

力付き倒れた青年はおじさんに命乞いをするが、おじさんは青年にガソリンを浴びせる。

冥途の土産におじさんは青年に語る。

おじさんは、小さいころ施設に入れられていた。出所後、家に帰ると母は亡くなっており、父は仕事を放棄してスズランの花畑に寝っ転がっていた。放置された牛小屋の牛たちは飢餓と病気で大変なことになっていた。牛たちを楽にさせようと家から銃を持ってきて

殺そうとしたができなかった。そして、牛小屋に火を放った。

おじさんは、この業を今までずっと抱えて生きてきたのだ。

話し終えると、おじさんは躊躇いなく青年に火を放ち焼殺する。青年の息が絶えると、おじさんは自らもガソリンを被り火を着けるのだった。

 

目を覚ますと病院のベッドにいる。全身焼けただれ、瀕死の状態である。

傍らにはあの看護婦がいる。看護婦は聞く。「あの音楽を聴きたい?」

その問いに、おじさんは看護婦の肩を叩くのだった。

で、幕引き。

 

感想

ホードボイルドでありながらシュール。しかし粗削り。

東京国際映画祭脚本賞を取ったと言うが、、、。

なんだろう。キャラクターのバックグラウンドとフィンランドの文化様相が見えて来ないのだな。フィンランドのペット事情とか尊厳死の法整備がどうなっているのかとか、予備知識ないと辛い作品ですかね。一番は、ラストにおじさんの業について、微妙なタイミングで自らが独白するという野暮な運びになっているのがなー。

ペットを安楽死させるという奇天烈な副業をする個性の裏付けが、弱い。宗教観とか、もっとパンチのある回想とか、人格に結びつく生活描写とかが必要だったんじゃないかと。

あと、死生観のキワに常に位置する看護婦をロマンスの相手に持ってきたのはとても良かったが、その死生観と際どい行為を紐づけかたが、弱い。あれだと、読み取れる人は読めるけど、ただの変態な趣味の女に見えてしまう。

脚本は良いんだけど、演出が惜しいという感じか。割と短めの作品だったので、尺を延ばしてキャラについて掘り下げてみたらもっと面白くなったんじゃないかと思う。

 

おじさんの演技は秀逸でした。表情がほとんど変わらないのに、喜怒哀楽、さらにロマンスに落ちるところまでなんでか伝わってくる。今まで主演作がないというのにも驚き。

青年の純粋が故の外道さも良かった。

あと、BGMのチョイスが奇想天外すぎた。フィンランドの感性ではあれは正しいのか・・・?